「第3回 AI・人工知能 EXPO」 レポート

  • 2019/4/4

4月3日から5日までの3日間、「第3回AI・人工知能EXPO」が開催されました。
本展示会は国内最大級の人工知能専門展であり、今年度全日程における総来場者数は4万8千人を超えました(数字は主催発表)。
以下はEXPOのイベントレポートです。各社の出展内容、特別セミナーの様子などを簡単にまとめました。

全体の印象

昨年から会場が変更になったものの(東京ビッグサイト東館→青海展示棟)、昨年同様に多くの来場者で賑わっていました。
特別講演にも合計6000名を超える聴講の応募があったそうです。
参加者の内訳は、感覚的に通信・IT業関係の来場者が最も多く、次いで製造業関係が目につきました。
展示されている要素技術としては画像認識関連が最も多く、次いで自然言語処理(NLP)が活況でした。
深層学習など専門領域に特化して目新しい技術を紹介している企業はほとんどなく、主にソリューションの内容やコストで差をつけているようです。

前年度開催との比較

過去開催と比べ、スーツ姿の社会人の割合が顕著に増加しており、先端技術を共有するよりも商談がメインのイベントにシフトしています。
2018年度開催時に出展していたABEJA、OPTiMなど、今年度は出展を見合わせた有名企業も少なくありませんでした。

出展状況

出展SIerのうち、TIS、CTC、富士ソフト、NSSOLなどは広いブースを確保。NTTもグループで合同出展。
内容については、チャットボット、AI-OCR、画像認識(顔認識、傷認識など)に関する展示が特に多く、大手企業のブースは似通ったラインナップ。
専門分野に特化した内容は中小規模のブースを中心に紹介されていました。
DataRobot、ReNom(GRID)のようなモデル構築支援系のツールが昨年よりも目立ったほか、SIGNATEのような技術コンペサービスも出展していました。
以下では、AI-EXPOで印象に残った展示をピックアップして紹介します。
SIer系の展示はソリューションで差をつけているのに対し、半導体メーカーの展示は技術色が強い傾向にありました。

・マクニカ
2019年に関係会社化したインドの企業CrowdANALYTIXを紹介。
完成AIモデルをリーズナブルな価格体系でAPI提供しているほか、データサイエンティストのクラウドソーシングコンペも開催していました。
プラットフォームを用意し、モデル開発に必要なデータ管理などの機能を提供しています。
・PALTEK
FPGAメーカー。チップ単体の提供、あるいは推論AIを組み込んで提供しています。
深層学習の実装、コンパイル環境の提供については、現在積極的に取り組む予定はないようです。
・SEL
3つ折り液晶ディスプレイや小型(13インチ)の8K対応ディスプレイが衆目を集めていました。
・キーエンス
主力とするセンサー等のハード以外で、AIを活用したサービスを紹介。
ユーザー企業が自社内の事例をもとにサービス展開しているケース。今後このような企業はさらに増加すると思われます。

特別講演について

AI-Expoでは様々な講演が行われました。講師としてPreferred NetworksやABEJA、メルカリといった国内AIを牽引する企業や、IBM、AWS、アリババクラウドのような大企業の取締役、および著名な研究者が登壇しています。
講演全体の傾向として、聴講者がAIの非専門家であることから、自社のAIへの取り組みや商材紹介が中心であり、サイエンスやテクノロジーに関する深い話題は避けていたようです。
以下にいくつかの講演の概要を掲載します。

・人工知能の将来展望と日本の人工知能戦略
(AI戦略実行会議座長 安西祐一郎氏)
日本社会の課題、AI技術の現状、技術革新と社会革新の関係、日本のAI戦略などについての講演。
AIの中身(具体的な技術など)よりも、AIの歴史や政府の教育方針といった外側の概要説明がメイン。
・有力ベンチャーが見通すAIの未来
(ABEJA 岡田氏、GRID 曽我部氏、PFN 岡野原氏)
ABEJA、GRID、Preferred Networksの3社による合同講演。各社の自社事例と自社製品の紹介が中心でした。
・世界のAIビジネス最前線
(AWS Hassan Sawaf氏)
Amazonが提供するAIインフラや、機械学習サービス紹介に終始。深層学習に最適化したインフラを提供し既存の2倍の性能を実現するとのこと。
・量子コンピュータは何をもたらすのか
(IBM Vice President Scott Crowder氏、D-wave Handol Kim氏)
IBMとD-Wave両社の量子コンピュータに対する取り組みについての講演。
今までのような企業内クローズドな研究フェーズから、すでにコミュニティによる技術共有のフェーズにシフトしているように思われました。

参加しての感想

前年度に引き続き、入場時に招待券へのアンケート記入と名刺2枚の提出が義務づけられており、昼過ぎ時点でも受付前には列形成していました。
耐えかねた外国人参加者が「なぜAIの展示会なのに面倒な手続きを踏ませるのか?」と受付スタッフに尋ねる一幕もあり、展示会の運用が時代遅れな点が気になりました。
展示会については、セミナーに講師として登壇しているにもかかわらず、Preferred Networks、ABEJA、メルカリなどの国内におけるリーディングカンパニーと目される企業が出展ブースを設けていません。そのため、AIの最先端をキャッチアップしたい来場者には幾分不満の残る内容だったかもしれません。
また、AIというソフトな対象を扱う以上、パンフレットや簡単なデモレベルの紹介であればWeb上でも十分まかなえてしまいます。
それでもなお、物理的な展示会において対面で商材の説明をする/されるということに価値を見出すかどうかは、来年以降の全参加者における課題となるでしょう。

PAGE TOP