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外国人に「SCSKってAIの会社?」と言わせた話(国際情報オリンピック2018 ワークショップ開催記)

ioi_workshop_fukan画像出典:国際情報オリンピック公式サイト

こんにちは!AI技術課の古林です。

実はSCSKは、去る9月1日-8日に開催された国際情報オリンピック2018というイベントにゴールドスポンサーとして協賛していました。
国際情報オリンピックとは、世界約80の国と地域から高校生以下の学生が集まり数理情報科学の能力を競うプログラミングコンテストで、1989年の初開催以来初めての日本での開催となります。

スポンサー特典として会場で基調講演もしくはワークショップを実施する権利が与えられたため、R&Dセンターでなにか楽しいことをやってみようということでワークショップを企画しました。

自動運転AIワークショップ!

deeptraffic_screenshot

ワークショップの題材としては、MITが公開しているDeepTrafficというウェブサイトを用いました。
これは7車線のハイウェイを走り抜ける自動車のAIを、先端技術である深層強化学習を用いて鍛えるという内容のWebアプリです。
赤い車が頑張って他の車を追い越していく様子がいじらしく、思わずじーっと見入ってしまう面白さがありますよね。
キャッチーな見た目ながら実は中身はしっかりとした深層強化学習の問題となっており、さらっと実行だけすることもできるし、深層強化学習のトレーニングとしてまじめに取り組むこともできるようになっています。

ほかの案としてはR&Dセンターでここ最近開催していたAnsibleハンズオンやブロックチェーンハンズオンなどをやるという選択肢もあったのですが、使用できる会場が(冒頭の画像からもわかるように)広いコンコースのような場所の片隅に机と椅子を並べた状態ということ、また「国際」情報オリンピックという名前の通り参加者はほぼ全員が非日本語話者とのことだったため、みっちり教育系の催しは辛そうという判断になりました。

自動運転AIのつくりかた

一般的に強化学習を行う際にはまず学習が動く環境を作る必要がありますが、今回はDeepTrafficという有り物を利用しますのでそこはすでに達成されています。
ですので、各種ハイパーパラメータを調整していろいろな条件で学習を繰り返すという、強化学習のいちばんおいしい部分に集中することができるわけです。

調整する内容の一例としては、DeepTrafficにおいては

  • AIは車からどれぐらい離れた場所の情報までを考慮するのか
  • 学習処理をどれぐらい長く続けるのか
  • 使用するニューラルネットワークの構造と規模

などがあります。これらを数値として指定すると、それに従って学習アルゴリズムが内部のパラメータを調整して、その学習の結果がAIの頭脳となるわけです。
これらの設定値は、(内部の)パラメータを学習するのに用いられるいわば上位のパラメータなので、「ハイパー」パラメータと呼ばれます。
そして強化学習を行ううえでの一般的な作業サイクルは、ハイパーパラメータを設定→学習を実行→良い結果が出るよう祈る→結果を見る、という流れになります。

上で「自動運転」と書いていますが、DeepTrafficの問題は「他の車をうまく追い越す戦略」にフォーカスして抽象化されており、速度を上げる/下げる・レーンを左に変える/右に変える・現状維持、の5つのアクションから最適なものを時々刻々選択するという内容になっています。
他の車とぶつかりそうなアクションは自動的に拒否され、シミュレーションが平和に進むことが約束されています。
一般的に自動運転といって連想されるレーン維持や衝突回避などといったような繊細微妙な問題を強化学習で解こうとすると、けっこう頑張ったのにすぐ車がぶつかって全然楽しくない!ということになりがちであるため、さすがMITというべきか、教育用にうまくデザインされていると感じます。

当日の賑わい

広い会場の片隅、しかも同じ時間帯に他の名だたる企業が基調講演を行っているということでどれだけ参加者が集まるか不安に思っていたのですが、それは全くの杞憂でした。

当初、ワークショップの開始は午前10時からとしていました。
会場は9時から利用可能だったのですが、もちろん設営の時間が必要であることと、つくばの会場に全員9時必着というのはちょっとしんどいため、自宅が会場から徒歩5分というつくば在住のスタッフを先頭にベストエフォートで集合しつつ10時に開始という段取りでした。

ところが、準備の途中から周りで見ている国際情報オリンピック参加者の“圧”がすごく、

「10時から?・・・ふーん。えっ10時から?・・・ふーん。本当に10時じゃないとダメ?」
「あれっ・・・?ここの席、準備できてるんじゃない?あれっ?」

というような(一部誇張あり)多くの声に押し切られる形で、10時を待たずして準備の整った席から順次参加者を受け入れることになりました。
私自身は10時少し前に会場入りしたのですが、その時点で満席。待ち行列もできている状況で早くも大盛況でした。

その後も参加者が途切れることはなく、満席の状態が続きました。
参加者の質問への対応や、ある程度の時間を過ぎたら席をゆずってもらえるよう個別にお願いするなどスタッフ全員がフル稼働で対応しました。
参加者との会話はもちろんほぼすべて英語です。ただ我々のように英語を母語としない参加者も非常に多く、お互いに相手の伝えたいことを汲み取り合うようなコミュニケーションになったのが印象に残っています。

国際情報オリンピックの運営スタッフの方も、列の整理や参加者の誘導などいろいろと手伝ってくださいました。

白熱の戦い

ioi_workshop_leaderboard

DeepTrafficの学習がどれだけうまくいっているかは、評価用の道路環境における平均時速(マイル毎時、mph)で評価します。
舞台となるハイウェイの制限速度は80mph(≒129km/h)という設定になっており、どれだけこの80という数字に近づけるかが見どころとなります。
ちなみに現在の公式記録世界1位は76.6mphです。

今回のワークショップではちょっとしたお遊びとして、上の写真のようなスコアのランキングボードを用意してみました。

思ったより参加者の競争意識を刺激したようで、ある程度のスコアが出たあとも「まだまだランキングが低い」と挑戦を続ける参加者がいたり、ワークショップ会場の席を譲ったあとに近くの空きスペースで延長戦に臨む参加者の姿も見られました。

白熱した戦いの結果、当日のトップとして73.84mphという素晴らしい記録が出ました。
(ランキングボードの写真には78.67mphというものが映っていますが、チートの疑義が出たため参考記録扱いとなりました)
ちなみに今回スコアが70mphを超えた参加者はトップを含めわずか2組でした。私自身が挑戦してみた感触からも、70mphを超えることは容易でないと感じます。
また余談ですが、チートを駆使して100以上という不可能なスコアを表示させた参加者もおり、あらゆる意味でハイレベルな技術力を持つ若者が集まっているのだなと実感しました。

おわりに

わりと期日が迫っているなかで動き始めたこの企画でしたが、期待した以上に多くの参加者に楽しんでいただけて嬉しく思います。
また、スタッフの一人があるワークショップ参加者から「SCSKってAIの会社か?」と聞かれたらしく、次世代のIT産業を担う優秀な学生たちに、極東日本に「AIの会社」SCSKありということを印象づけられたのではないかと思います。

協力してくださったスタッフのみなさま、お疲れ様でした!

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